「え〜っと、正門を入ってからこっちに来て、それで、、、」
地図を片手に、キョロキョロとあたりをうかがう少女が一人。
彼女の名前は、クララ。
とある魔術学園の生徒で、新人の中級魔術士である。
また、彼女は、学園の分校からの編入生である。
分校の先生では、初級魔術士までの生徒しか、面倒をみることが出来ない。
そういうわけで、この魔術学園本校に、編入してきたわけだが、、、
彼女は一寸、地理には疎いタイプのようだ。
クララ「う〜ん、わからないです、、、迷っちゃったみたい、、、」
なんと、既に学園の中にいるにも関わらず、道に迷ってしまっているのだ。
彼女のペットの蝙蝠も、不安げに辺りを見渡している。
クララ「どうしたら良いかな、むーちゃん?」
ペット(むーちゃん)「キュ〜っ、、、」
どうやら、ペットも、彼女に負けず劣らず、方向音痴らしい。
二人して、路頭に迷っていた、その時。
「ぅぅうおおぉぉおおっっ!!」
奇声とともに、地震の様な、妙な振動が伝わってきた。
振動は、徐々に、大きくなってきている。
それにつれ、奇声も、だんだんと大きくなってくる。
、、、そして。
どかーん。
クララ「きゃぁっ!」
赤髪の少年「うわぁっっ!!?」
、、、大惨事である。
クララは、走ってきた少年に、強烈なタックルをあびてしまった。
クララ「痛いです、、、ふぇ〜ん、、、」
赤髪の少年「あぁっ! 悪い、ゴメンっ! 大丈夫か!?」
少年は、クララの様子を診た。
赤髪の少年「血が! 治さねぇと、、、頼む、アロエっ!」
言うが早いか、彼が背負っていた大きなリュックから、小さな女の子が現れ、、、
女の子「は〜い♪ えぇ〜い☆」
アロエと呼ばれた女の子は、クララの傷口に手をあて、何やら呪文を唱えた。
すると、みるみる、クララの傷がふさがっていく。
アロエ「だ〜いじょうぶ??」
クララ「はい、ありがとうございます。」
赤髪の少年「いやぁ、悪ぃ。 でも、無事で良かったっ。」
アロエ「何言ってるの、レオンちゃんっ。
もとはといえば、レオンちゃんが、あんな速さで走ってるから、、、」
少年は、どうやら、レオンという名前らしい。
レオン「仕方ねぇだろ、だって、まだ俺、空飛べねえーし、、、」
アロエ「なんでそんなので、中級認定試験、合格出来たの、、、?」
レオン「知らねぇよ、フランシスのヤローに聞いてくれよ。」
クララ「(なんなんだろう、この人達、、、でも、、、)」
会話の内容から察するに、どうやらクララと同級生のようだ。
クララ「ひょっとして、ここの、中級魔術士の方々ですか、、、?」
レオン&アロエ「もちろんっ!」
レオン「んっ!? マネすんなよ、アロエッ!」
アロエ「まねしてるのは、レオンちゃんでしょー?」
クララ「、、、」
むーちゃん「、、、キュ〜、、、」
クララ「行こっか、むーちゃん。」
むーちゃん「、、、キキっ。」
クララは、とりあえず、このゴタゴタは無かったことにした。
クララ「あ、でも、どうやって教室に行けばいいんでしょう?」
そこに現われたのは、金髪の美少年。
金髪の少年「ふん、レオン。 毎度毎度、朝から賑やかなことだな。」
レオン「てめぇっ! セリオス!! ここで会ったが百年目! 勝負しろ!!」
金髪の少年・セリオス「、、、断る。」
レオン「なっ、何っ!?」
セリオス「急がねば、遅刻してしまうからな。」
アロエ「あーっ!!? 大変だよ、レオンちゃん! あと二分で、ホームルーム始まっちゃうよぉ!」
レオン「よし、じゃあセリオス! どっちが先に教室に着くか、サシで勝負しやがれ!」
セリオス「くだらん。」
、、、などと言いつつも、どうやらセリオスも、やる気満々な様子。
レオン&セリオス「アロエ(ちゃん)、合図してくれ。」
アロエ「(時間無い、って言ってるのに、、、) じゃあ、スタートするよ。 れでぃ、、、ご〜っ!」
レオンとセリオスは、とてつもない速さで、学園の中庭を駆け抜けていった。
アロエ「おぉ〜っ、はや〜い。 でも、たぶん二人とも、遅刻しちゃうだろうなぁ、、、」
クララ「あの、、、」
アロエ「えっ、なぁに?」
クララ「中級魔術士の、ホームルームの教室って、どこにあるんですか?」
アロエ「うーんとね、この方向で、ちょうど、2kmぐらい先だよっ。」
クララ「!? 2km先ですかっ!? あの方達、走っていかれましたけど、、、」
アロエ「うん、だから、レオンちゃん達、遅刻しちゃうと思うの〜。」
クララ「そんな、、、だって、確か、この学園、遅刻すると、、、」
アロエ「うん。 先生が、とおっっってもひど〜いお仕置きを、もれなくプレゼント♪
、、、だから、あたしたちは、お空を飛んでいこうね、、、」
クララ「はっ、、、はいっ!」
→続きます